環境の建築

人間の思考(思想性)は先天的なものと後天的なものの総合である。前者は勿論自身の意思を超えた環境によって持ちうるものである。これは本人の思惑と関係なく全関係性に組み込まれている。この4次元的時間軸(時代)と3次元的存在軸(地域、国、場所、)の限りなく貴重な交点で起こる奇跡、ロマンチックに言うならばこれらは天の思し召しであろう。対して後者はその前者(事象)に対する一種の「抵抗体」として顕現してくる。これは異種性、差異性に対する羨望又は違和感等の反応からそれへの関係性が自覚されることからきている。そしてそれ(先天性)に対峙することで自己の芽生え、成長が可能になる。この二者が融合してその個人の思考、人格が形成され、時とともに変革、変性を繰り返しながらある一定時間をまっとうするのだが、それは決して一次方程式的に成長するのではなく、あくまで変化の過程の軌跡を描くだけである。

これは人間と同じく日々生み出されている建築にもあてはまらないか。その建築が、夢想の2次元であろうが現実の3次元世界での存在であろうが人類、人間、ひいては「建築家という環境」によって生み出されることに変わりは無い。この場合、その源である技術、感性自体が時代によって作り出されるわけだからその完成品である建築は時間軸(時代)にもっとも影響される。そしてその建築の後天性はどの建築家と出会うかで決定されるのであり、それにによってその建築の表出する性格が大きく左右されることとなる。また、その建築家自体も、先のごとくさまざまな環境によって思考作用の変化に依られているとすればお互いが映し鏡でもある。
そして「建築」も、技術の成長はともかく性質、性格の成長ということはありえなく、あくまでも歴史的に存在のみをかたくなに表記しているだけだといえる。もともと建築は現世的にも、生み出された瞬間から他者性の中にいる、あるいはその時々の社会思考によって独自な性格を注入されるものである。ひいては時代を経るごとにまた新たな性格、意味を見出され、また生まれ変わるものなのである。
そのなかで傑作、または人々愛される幸運な建築のみが、時代の生き証人として、生みの親である建築家よりもはるかに長く歴史を体現することにもなる。

ここでの主題は、そうしたあらゆる「建築」を生み出す環境、母体としての建築家自身の自覚と、創造への深化力の喚起という今更ながらの確認作業なのだが、ますますデジタル化する現代社会での、建築家そのものの性格が漂泊されようとしていることに対しての実際的な方法論の思索へと継続した思考を促そうといていることは言うまでも無い。

ステルスU

2月20日、「新建築住宅特集3月号」が発売されました。
幣アトリエのステルスUが掲載されていますので、奮ってご購読ください。
今月は変形敷地特集で、まさにステルスUにぴったしの企画です。
ご質問、ご感想があればどうぞメールしてください、歓迎します。

ウイルス

しばらくの間この日記の書き込みをしませんでした。
というよりも出来ませんでした。実は幣アトリエのコンピューターがウィルスに侵されてしまい、インターネットが機能しなくなっていました。ここにきてやっと復旧したところです。老婆心ながら、皆さんにも細心のご注意を図られることをお勧めします。

ホリエモン崩壊

堀江貴文、ライブドアー社長の逮捕です。

衝撃です。

時代の寵児の、あまりにも突然の失墜。
ちょうど一年前の威勢は昨日の夢のごとく。

これは何を意味するのか?
何が見えてくるのか?
何を感じ取ればいいのか?

質を伴わない量の拡大の危うさ。
ビジョン(思想)無きユートピア絵巻。

何も「ホリエモン」だけの話ではない・・・・。

堺市景観賞受賞

<平成17年度 第11回堺市景観賞作品表彰>

「建築物部門」

大阪木材工場団地協同組合 組合会館  愛称「ウッドリーム大阪」

同作品は新田正樹の処女作品(1984年の公開コンペにより最優秀賞、1985年完成)であり、同時に建築家としてのデビュー作品でもあります。

2000年に内部機能の変更に伴い、竣工15年にして初の大改造を行いました(ワークス参照)。今回その作品が筑後20年を経た上でのこうした受賞というのは大変珍しいことであります。

このことは前述のように、私にとって思い入れのある作品であるから大変うれしいだけでなく、それだけ長くに渉って、この建築が愛され続けている証しでもあり、関係の皆様に改めてお礼を申し上げます。