311を思う-1

3月11日の東日本大震災からはや2ヶ月半が経とうとしている。改めて被災者とお亡くなりになった多くの方々にお悔やみを申し上げます。その直後はとてもじゃないがもっともらしい言葉は並べられなかった。ようやく少し書ける心境です。

それにしても、あんなにも甚大な被災状況になっているとは正直思っていなかった。ちょうど名張の現場にいたのだが、後で聞くと関西でもゆれがあったということだがそれもまったく感じなかった。現場監督の身内からの連絡で、最初は東京の方が大変らしいということだった。その時誰かが持っていた携帯?のニュース画面で初めて状況を確認した。場所ははっきりしないが車が流れていた・・・。でもまだその時点でも比較的冷静だった。というのも関西人は阪神淡路大震災を経験しているものだから、よもやあれを超えるような震災が起きようとはゆめゆめ思っていなかった。

しかし時間が経つにつれ解って来た、そら恐ろしい状況を目の当たりにしてさすがに呆然とした。これは大変だ・・・。

オープンハウス

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この欄でのお知らせが遅れましたが、先日名張の住宅のオープンハウスと撮影を無事終えました。2,3カット載せます、ご高覧下さい。
完成予定日から少し?遅れましたがようやく竣工を迎えました。
比較的高齢のご夫婦のための小住宅ですが、コンパクト性、空間性、人間性等がテーマになりました。ここでは大きなワンルーム空間の中にいろんな機能が枝分かれしていくというストーリーを作っています。

新年のご挨拶

新年明けましておめでとうございます。

皆様の新春の抱負はいかがでしょうか。
まだまだ厳しい社会情勢、国際情勢の中、
より建築家としての哲学を問われるのでしょう。

田舎に例年のごとく帰って来ましたが、百年一日のごとくです。
勿論村社会の憂愁はありますが、やはり人間の営みの短さを俯瞰します。

少しでもいい建築を残さなくてはいけない・・・。
この思いをますます強くする寒天の新春です。

本年もどうぞ宜しくお願い致します。

オットー ディックス の告発

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最近ウィキリークスの話題が多くの人々の関心を呼んでいる。今年の春頃だったかバグダッドにおける、米軍の許しがたい蛮行映像が内部告発により流された映像が衝撃だった。ああした行為は戦争という名目ゆえに罪を問われないのだろうか、これはやりきれない疑問として頭から離れない。私に限らずそう思われる人が多いのではないだろうか。

問題は、前述の映像に限らず、彼らのそうしたスクープが内部告発によるということだ。これが民間のそれだとこんなに問題にならない。しかし、ことが戦争、国家、政府が絡んでいるとそう簡単ではない。ウィキリークスではないが、近日来かしましい日本の尖閣諸島における中国漁船追突映像の流出も形は内部告発である。戦争中であるからか、或いは一触即発に発展しかねない敏感な状況であるからか、その是非が問われているが、個人的には積極的に肯定の方に手を上げたい。

有史以来続く戦争は愛国心と正義感がなければ成り立たない。しかし現代ならともかく、20世紀の戦争では多くの国民は、その起因そのものに憤慨してというより,政府扇動による受動的なところが多いのではないだろうか。しかしその時代にこうした告発があったとしても果たして人々に知らされただろうか。

起こしてしまった戦争、起きてしまった戦争。否応なく多くの人間が動員される。

ここに一人の戦争体験者がいる。彼の名はオットーディックス。ドイツ人である。先ごろ彼の版画展を見てもう一つの衝撃を受けた。彼は20世紀の2つの戦争に志願兵として参戦した。正確に言うと最初は志願兵として、後は召集兵として。その2つの動機には意味の違いがあるが、それを探るのはここでの真意ではない。

衝撃は、そのすざましい筆致力にもよるが、それ以上に確たるリアリズムとそれに伴なう自己告発者としての意思の堅固さを感じるからである。一言で言うとトラウマということになるのだろうか。人は誰でも持ち合わせている、或いは持ち合わせるようになる「こだわり」、譲れない一線。これの引き方で生き方が変わって来る。

それは何も先述の戦争を問うた内部告発のみを言うのではない。戦争という悲劇に起因するとは限らないが、誰しもに、或いはどの時代にも内在する享楽と退廃への誘惑。この人間のぬぐえない本質を、冷徹に、まるで自分自信の内面をえぐりだすように生涯告発し続けたディックスは、類いまれな20世紀芸術家の一人であろう。多くの皆さんに一見していただきたいと思う。

Houseco Award 「ハウスコ家作りアワード2010」最優秀賞受賞

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この度「ハウスコ家作りアワード2010」に於きまして、弊アトリエ設計の「伏見のHOKORA」が最優秀賞を受賞いたしました。

この作品はその「ハウスコ」内のコンペにおいて選出された極端なローコスト住宅です。当然、仕様、素材は否応なく厳しい選択を迫られましたが、空間だけは何とか豊かなものにしたいと奮闘したものです。

この賞は、日本有数の家作りサイト「ハウスコ」が第一回のアワードとして開催したものです。(詳しくはハウスコの特集欄参照)

ユニークなのはそこに所属する、いわゆる登録建築家が、応募のあった作品(ノミネート作品)の中から一人1票だけ投票するというところです。

今までの日本建築界のコンペ或いは幾多の賞は、審査員の私見、見識により多くが作用されますが、そこでは色々な思惑が錯綜するそうです。しかし今回ここでは、特別審査員も招待されましたが、それらの方々も同じ1票という同等の重みでした。

形式は人気投票のような態をなすもので、そのシステムの良し悪しはともかく、
こうした試みは、サイト内でのイベントとはいえ、日本の建築界では画期的な試みだったのではないでしょうか。少なくとも一石を投じるものであると思います。


投票くださった建築家の皆様有難うございました。